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切れ痔とは
肛門から近い部分、肛門上皮が切れて裂けた状態を切れ痔(裂肛)と言います。硬い便が肛門を通過するときに切れて、痛みや出血が生じます。便秘が原因の場合が多いですが、頻回の下痢でも引き起こします。切れ痔は、裂肛また裂け痔とも呼ばれています。肛門上皮は皮膚のため、近く神経があり、強い痛みが生じます。硬い便が通過するたびに傷口が擦れて激しい痛みを感じます。この激しい痛みを避けるために次第に排便を我慢するようになると、さらに便秘が悪化してさらに切れ痔が酷くなってしまうという悪循環が生じてしまいます。
切れ痔の原因
主な原因は、便秘による硬い便・勢いのある下痢の便が通過することとされます。便秘をはじめ、減量などの食事制限により便の量が減少すると、腸の蠕動運動が鈍くなり便秘を招きます。さらに、水分の摂取量が少ないと便秘を引き起こしますので注意しましょう。
切れ痔の経過と特徴
切れ痔の経過には、初期・中期・慢性期・肛門狭窄期があります。切れ痔によって、見張りいぼと呼ばれるいぼのほか、肛門ポリープができることがあります。
1初期
切れやすいけれど、治りやすい時期です。再発を繰り返す場合は、便を柔らかくする生活改善や軟膏治療が必要です。
2中期
再発が繰り返され、傷が次第に深くなります。痛みがなくても治療をしないと治りません。小さいいぼが肛門内外に出てくる時期です。また、肛門ポリープが生じる場合があります。
3 慢性期
筋肉が固まることで、肛門が狭くなります。その結果、肛門が切れやすく慢性化します。中期よりもイボが大きくなり、軟膏治療よりも手術の方が早く改善できます。
4 肛門狭窄期
肛門の皮膚がもろく、すぐに切れてしまいます。筋肉が凝り固まったまま肛門が広がらず、かなり狭くなっています。慢性期よりもやや大きいのが特徴です。
当院の治療
切れ痔は、便通を良くする生活習慣へと改善することと、お薬を上手に使うことでかなり症状が良くなります。およそ75%の患者さんが軟膏治療で症状が改善します。強い肛門の痛みは、痛み止めと漢方薬・鎮痛坐薬・便を柔らかくする薬を用います。なお、手術が必要な場合は、連携医療機関にご紹介いたします。
再発させない治療
切れ痔は、再発を繰り返すことで、症状が次第に重くなります。再発を防ぐために、初期段階で、少なくとも3週間は治療を継続する必要があります。痛みが消えても、自己判断で治療を中断しないことが重要です。
文責
横浜わたなべ内科・内視鏡クリニック 根岸院
院長 渡辺 一輝